業務上横領など 懲戒解雇(3)

業務上横領については、金額に多寡や回数に関係なく、懲戒解雇が有効になる可能性が高いです(10万円の着服行為に対する懲戒処分を有効とした事例として、大阪地判 平成10年1月28日、バス料金3800円の着服行為に対する懲戒解雇を有効とした事例として、長野地判 平成7年3月23日)。

 

特に、金融担当者など、業務の性格上規律を遵守することが強く要求される者が横領した場合には、懲戒解雇は妥当でしょう。

 

これに対し、通勤手当の不正受給の場合は、労働者が深く考えずに行ってしまっているような場合もあるため、不正受給に至った経緯や動機を検討し、悪質性が高いと判断できるような場合にのみ懲戒解雇ができると考えます。

 

裁判例でも、通勤経路を変更してより安価な運賃で通勤するようになったことを会社に届け出ず通勤手当を不正受給したことを理由とする懲戒解雇について、同人の行為は就業規則所定の懲戒事由に該当する軽視し得ないものであり、また、同人の対応に不誠実な点があるものの、不正受給の動機、額(合計34万円余り)等の事情に照らせば懲戒解雇は重きにすぎるとして解雇権濫用により懲戒解雇を無効としたものがあります(光輪モータース事件 東京地判平成18年2月7日)。