懲戒解雇はどんな場合にできるか?
懲戒解雇とは、懲戒として使用者が労働契約を一方的に解消するものです。
懲戒処分の中ではもっとも重く、通常は解雇予告も予告手当もなしに即時になされ、退職金の全部または一部が支給されない場合もあります。
懲戒処分を行うためには、就業規則等に懲戒に関する規定があることが必要です。したがって、懲戒解雇についても、就業規則等に懲戒事由及び懲戒の種類が明確に規定されており、かつ、規定の内容自体が合理的なものでなければなりません。
そして、実際に規定の懲戒事由に該当し、懲戒解雇する場合の手続も適正に行われなければなりません。
また、労働契約法では、使用者の解雇権について、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」として、解雇権濫用を規制していますので(労働契約法16条)、懲戒解雇がこの解雇権濫用に該当しないことが必要です。
懲戒解雇は、上述のとおり懲戒処分の中でもっとも重く、労働者に大きな不利益を与えるものですので、解雇権濫用の規制を受けるか否かは、普通解雇よりも厳しく審査されることになります。
以下、具体的な例で懲戒解雇できるか否かについて検討してみます。