業績が悪化した場合、賞与を不支給とできるか?

賞与は、毎月の給与のように、必ず支給しなければならないものではなく、支給要件や支給時期、算定方法等は、使用者と労働者との間で自由に決めることができるのが原則です。

 

賞与を支給するかどうかや、支給する際の支給要件や支給時期、算定方法等が、就業規則や労働協約等に特に定められておらず、労働者の勤務成績や会社の業績等に応じて賞与が支給されたり、されなかったりするような場合であれば、業績が悪化したことを理由に賞与をなしにすることもできると考えられます。

 

しかし、賞与を制度として設け、支給要件や支給時期、算定方法等を就業規則や労働協約等に定め、これに基づいて支給されている場合には、労働基準法上の賃金に当たりますので、保護の対象となります。

 

賞与について就業規則や労働協約で定めている場合でも、その定め方に法律上の決まりはありませんので、内容は企業によって異なります。

 

例えば、「賞与は、会社の業績、個人の勤務評定、勤怠等を総合的に勘案し、各人ごとに決定する」などと規定している場合には、会社の業績が悪化した場合には、支給しなくてもよいと言えます。

 

また、不支給や減額について、例えば、「業績の著しい低下その他やむを得ない事由がある場合には、支給しないことがある」等の明確な規定がある場合には、不支給とすることができると考えます。

 

しかし、このように定められている場合でも、それまでの労使慣行を重視し、長期間にわたり定期的に支給されてきたというような場合には、突然不支給とすることは認められないこともあり得ます。

 

これに対し、「賞与は、毎年6月10日と12月10日に、基本給の2ヵ月分ずつ支払う」など、一定額の支給を明確に定めている場合には、規定に基づいて支払わなければならず、業績悪化を理由として賞与をなしにすることはできないと考えます。

 

業績悪化の場合に賞与の支払回数を減らしたり、不支給としたい場合には、就業規則等の賞与に関する規定を変更する必要があります。

 

ただし、これは就業規則の不利益変更に当たりますので、合理的な理由のない一方的な変更は認められません。

 

変更の必要性や、代償措置の有無、労働組合や労働者代表者と十分な協議、説明を尽くしているか等の諸事情を踏まえて、合理性の判断がされることになります。