不当解雇は誰に相談すればいいの?不当解雇の相談窓口まとめ
会社から解雇されたものの、「解雇理由に納得できない」「適切な解雇の手続きがされなかった」など不当解雇についてお悩みの方もいるでしょう。
しかし、不当解雇は誰に相談すればいいのか分からず、泣き寝入りしてしまうというケースも少なくありません。
不当解雇についての疑問や悩みは誰に相談すればいいのでしょうか?
不当解雇された場合に相談できる窓口としては、①労働基準監督署、②労働組合、③労働局、④弁護士、などが考えられます。
各相談窓口の特徴や、相談する際にすべきことなども併せて解説しているので、是非参考にしてください。
目次
不当解雇の相談窓口一覧
会社から不当解雇された場合、相談できる窓口は複数あります。
それぞれの相談窓口の特徴を知り、どこの窓口へ相談すべきなのか検討してみてください。
労働基準監督署
不当解雇など労働に関する問題は、労働基準監督署に相談すればいいのではないかと思い付く方も多いのではないでしょうか。
労働基準監督署とは厚生労働省の出先機関で、労働基準法や労働契約法などの法令を守っているかどうかを監督する機関です。
相談できる内容
労働基準監督署では、労働基準法など法令違反があった場合に会社へ指導などの対応を行います。
即日解雇されたものの解雇予告手当が貰えなかったという場合には、労働基準法違反になるため、労働基準監督署に相談することができます。
注意点
労働条件や労災保険の給付に関する改善や指導などを行ってくれる機関ですが、不当解雇に関する問題は取り扱ってもらえない可能性があります。
なぜならば、労働基準監督署は労働基準法以外の法令違反や民事トラブルに対して介入することができず、不当解雇は解雇が有効となる要件を満たしているかどうかという難しい判断であり、労働基準法違反の認定が困難なためです。
そのため、不当解雇であるかどうかの判断や、解雇の撤回を是正してくれるようなことは期待できないと考えておいた方がよいでしょう。
労働組合
一定規模以上の企業に勤めている場合、労働組合が社内で設けられていることが多いです。
また、個人で加入できる労働組合もあります。
労働組合では、労働条件の維持や改善を目的とした団体です。
相談できる内容
労働組合には労働に関する相談をすることができ、団体交渉や争議行為を主に行います。
そのため、不当解雇に関する相談をすれば、労働組合が会社に交渉を行ってくれる可能性があります。
そして、会社はこの団体交渉を拒否することはできません。
ただし、会社側は不当解雇を認めないケースが多いため、交渉では解決しない可能性もあります。
注意点
労働組合に相談するには、まずご自身が労働組合に加入している必要があります。
労働組合に加入していても会社ごとに対応スピードが異なるため、すぐに対応してもらえるかどうかは分かりません。
また、必ずしも団体交渉では解決できない可能性があり、その場合には争議行為へ発展しますが、労働組合は裁判の代理などを行えるわけではありません。
労働組合とは何か?
労働局
労働局は、労働基準監督署を指揮監督している機関です。
各都道府県に設置されており、労働問題に関する相談や助言、紛争調整委員会によるあっせん制度の案内を行っています。
相談できる内容
労働局には「総合労働相談センター」が設置されており、不当解雇について相談することができます。
相談することで助言を得ることができ、解決方法の提示なども行ってもらえます。
また、相談内容によっては会社側に事情聴取や助言、指導なども行い、解決しない場合には「あっせん」の案内を行います。
あっせんは、労働問題の専門家が介入することで双方の意見の調整を行い、紛争の解決を図る方法です。
注意点
労働局への相談は直接会社との問題を解決してもらえるわけではありません。
そのため、どうしたらいいのか分からない状態になっている場合の相談などに向いていると言えます。
ただし、不当解雇の判断は難しいものなので、労働局で不当解雇という判断ができない可能性があります。
また、あっせんを申し立てたい場合には費用が発生し、会社側も応じなければ成立しません。
弁護士
不当解雇は労働問題になるため、労働基準監督署や労働組合などが相談窓口だと考える方も多いでしょう。
しかし、労働問題に関する相談は弁護士に行うことも可能です。
弁護士は法律の専門家であり、法的なアドバイスや対処を行うことができます。
相談できる内容
弁護士は法律の知識があるため、まず不当解雇であるかどうかという判断をすることができます。
そして、不当解雇だった場合には、裁判外の交渉や裁判による訴訟で問題解決を目指せます。
弁護士に依頼すれば弁護士があなたの代理人として手続きや交渉など全て行うため、労力や手間を省けるというメリットがあります。
不当解雇問題は弁護士に相談すべきだという具体的な理由については次項でご紹介します。
注意点
弁護士に相談するには費用が発生します。
多くの弁護士事務所は初回無料で相談を行っているので、まずは無料相談から始めてみることをおすすめします。
2回目以降の相談は費用が発生し、依頼すれば着手金や成功報酬を支払うことになります。
費用は弁護士事務所ごとに異なるため、依頼する弁護士は比較しながら検討すべきでしょう。
不当解雇問題を弁護士に相談すべき理由
不当解雇されたかもしれない、不当解雇されたなど、不当解雇に関する問題は、ご紹介したように労働基準監督署や労働組合、労働局などに相談することができます。
しかし、不当解雇に関する問題の相談窓口は、弁護士がおすすめだと言えます。
不当解雇問題の相談先として弁護士をおすすする具体的な理由は、次の通りです。
不当解雇の判断ができる
不当解雇かどうかの判断ができずにお困りの方は多いでしょう。
不当解雇は「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」と労働契約法第16条で規定されていますが、この判断は難しいものです。
労働基準監督署や労働局に相談したものの判断してもらえないようなケースも珍しくありません。
弁護士ならば法的な観点や過去の判例から不当解雇であるかどうかを適切に判断することができます。
不当解雇に対処するための準備をサポートしてもらえる
不当解雇が事実であれば、解雇の撤回や損害賠償請求を行うなど何らかの対処をすることができます。
そして、こうした対処を行うには準備が必要です。
まずは不当解雇の証拠を集める必要がありますが、自分一人ではどんな証拠を集めるべきか分からないという方も多いでしょう。
弁護士に相談していれば、不当解雇を証明するために有効な証拠や証拠の集め方に関するアドバイスを得られます。
また、今後どのような対処や手続きを行っていくのか相談しながら見通しを立てることができます。
代理人として会社に交渉してもらえる
弁護士に依頼すれば、弁護士があなたの代理人として活動します。
不当解雇であることを会社に主張するには、まず内容証明郵便を送付しますが、弁護士に依頼していれば自分で用意する必要はありません。
内容証明郵便の作成や送付、その後の会社との交渉まで全てを代理人として任せることができます。
しかも、弁護士名義で内容証明郵便を送付するため、会社側が早急に対応してくれる可能性が高まります。
交渉ではあなたの主張を弁護士が会社側に伝え、裁判外の交渉によって問題解決を目指していきます。
訴訟や労働審判も任せられる
会社と交渉したものの双方が合意に至らなかった場合には、裁判所へ訴訟や労働審判の申立てを行うことになります。
裁判所の申立てには各種書面を準備するだけではなく、書面作成や証拠の提出が必要です。
申立て書類に抜けがあった場合には再提出が必要になりますが、弁護士に依頼していれば申立ての準備も全て任せることができ、スムーズに申立て手続きを行えるというメリットがあります。
また、訴訟や労働審判の期日には弁護士が出廷すれば本人の出廷は必要ないことが多いため、大幅に労力を省くことができます。
精神的な負担が軽減される
会社と不当解雇について争うことは、精神的な負担は大きいものだと考えられます。
会社側は組織として対応するため、個人として不当解雇を主張することは心細くもあり、不安も大きいものです。
交渉ではさまざまなことを言われて傷つくような場面もあるかもしれません。
ご自身で全てを対処していればスムーズに進まないため時間もかかってしまい、精神的なストレスもどんどん大きくなってしまうことが予想されます。
弁護士は法的な知識と交渉術で会社に対処するため、精神的負担は大幅に軽減されるでしょう。
不当解雇問題は弁護士に任せることができ、日常生活を過ごすことや転職活動に注力できるようになります。
不当解雇の相談に向けて準備すべきこと
不当解雇の相談を行う際には、事前に準備をしておくと迅速かつ効果的に相談することができます。
不当解雇の相談に向けて準備しておくと良いものとはどんなものなのでしょうか?
解雇通知書もしくは解雇理由証明書
会社から解雇を受けた場合には、まず会社に対して「解雇通知書」もしくは「解雇理由証明書」の発行を請求しましょう。
解雇通知書や解雇理由証明書には解雇の理由が書かれた書面です。
労働者から発行を請求された場合、会社側は発行を拒否することは出来ません。
解雇通知書や解雇理由証明書は会社の主張する解雇理由を知るためだけではなく、会社側が解雇理由に関して言い分を変えることができないように証拠として必要になります。
就業規則
就業規則には解雇事由に関する規定をあらかじめ記載する必要があるため、就業規則があれば解雇の不当性を判断することができます。
解雇通知書や解雇理由証明書と就業規則を照らし合わせた際に、解雇理由が一致していなければ不当解雇の可能性が高いと言えます。
その他の不当解雇の証拠
解雇通知書や解雇理由証明書、就業規則も不当解雇の証拠になりますが、その他にも不当解雇の証拠がある場合には集めておきましょう。
証拠は多ければ多いほど立証しやすくなります。
不当解雇の証拠として有効なものには、次のようなものが挙げられます。
・給与明細
・解雇や退職に関するメールや書類
・業務指導に関するメールや書類
・面談した時の録音
証拠の有効性の判断ができないという場合には、弁護士に相談してみましょう。
不当解雇を弁護士に相談した場合に期待できる解決策
不当解雇を弁護士に相談する際には不当解雇を証明する証拠類などを準備していくだけではなく、不当解雇に対してあなたがどうしたいのか考えをまとめておくと相談がスムーズになります。
不当解雇を弁護士に相談した場合に期待できる解決策をあらかじめ知っておき、どのような解決を目指したいのか検討してみてください。
不当解雇の撤回
不当解雇を受けた場合、解雇の撤回を主張することができます。
法律上の要件を満たしていなければ解雇は無効になるため、解雇の撤回を求めて会社と交渉や訴訟を行います。
解雇が撤回されれば会社に残ることが可能です。
しかし、一度争った会社へ戻りにくいという方も多いでしょう。
この場合には、解雇の撤回と同時に金銭的な解決を行います。
未払い賃金の請求
不当解雇の撤回を主張する場合、それと同時に未払い賃金の請求を行うことが大半です。
解雇された時から賃金は支払われなくなりますが、不当解雇であれば解雇は無効になるため、雇用は継続していたと考えられます。
慰謝料の請求
会社から不当な解雇を受けたことで受けた精神的苦痛に対して慰謝料を請求したいと考える方もいるでしょう。
しかし、一般的に解雇されたこと自体に対する慰謝料は発生しません。
なぜならば、未払い賃金が支払われることで解雇期間中の苦痛は慰労されると考えられているからです。
ただし、解雇の際に労働者へ対して悪質な精神的ダメージを与えるような行為があった場合には、慰謝料を請求できる可能性があります。
解雇する労働者の社会的立場を貶めるような行為やパワハラ、セクハラなどがあった場合などが例として挙げられます。
まとめ
不当解雇があった場合には、労働基準監督署などの相談窓口を利用することもできますが、具体的に問題を解決していくには弁護士に相談することをおすすめします。
不当解雇に関する問題は専門的な知識や交渉力が必要になるため、最初から弁護士に相談しておけば不当解雇の判断や今後の対処を含めて全てのサポートを受けられます。
不当解雇は泣き寝入りされてしまうことも多いですが、まずは無料相談を利用して相談してみてはいかがでしょうか。
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