労働法、労働協約、就業規則、労働契約の関係は?
定義
労働法とは、「労働法」という法律が定められているわけではなく、労働基準法、労働契約法、最低賃金法等、数ある労働に関係する法律の総称を意味します。
労働協約とは、使用者(またはその団体)と、労働組合との間で交わされる、労働条件や組合活動のルール、団体交渉などの手続などに関する合意を明文化したものです。
就業規則とは、使用者が、事業経営のために定める、労働者が職場において守るべきルールや労働条件に関する規則です。
労働契約とは、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことを内容とする労働者と使用者の間の契約です。
関係
労働基準法には以下の条文があります。
労働基準法 【92条 1項】 就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならない。 【92条2項】 行政官庁は、法令又は労働協約に牴触する就業規則の変更を命ずることができる。 【93条】 労働契約と就業規則との関係については、労働契約法 (平成19年法律第128号)第12条の定めるところによる。
労働契約法 【12条】 就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。
この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。
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以上から、就業規則と労働法及び労働協約の関係については、労働法と労働協約が就業規則に優先し、労働法や労働協約に反した内容の就業規則を作成することはできません。
行政官庁(所轄の労働基準監督署長)は、労働法または労働協約に抵触する就業規則の変更を命じることができます。
労働契約と就業規則の関係については、就業規則が優先し、就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は無効になります。
これに対し、就業規則で定める基準を上回る場合、たとえば、賃金額が就業規則の基準よりも高い金額で労働契約を結んだ場合は、その労働契約は有効です。