試用期間満了時に本採用拒否ができる場合とは?

一般的に、新規雇用者には、一定期間の試用期間を設け、就業規則でも、その期間満了時までに社員として不適格と認めたときは本採用しない、などと記載されていることがあります。

 

これは、解約権留保つきの労働契約と解されています。

 

したがって、労働契約は成立していますので、本採用拒否は解雇に当たります。

 

ただし、試用期間という性質上、通常の解雇の場合より広い範囲で本採用拒否が認められるといえます。

 

この点、裁判例では、本採用拒否が認められるのは、「解約権留保の趣旨・目的に照らして、客観的に合理的な理由が存し社会通念上相当として是認されうる場合」とされています(三菱樹脂事件・最大判昭48・12・12・判時724号18頁)。

 

具体的には、採用決定後の調査の結果や、試用期間中の勤務態度等により、当初知ることができず、または知ることができないような事実を知るに至った場合であって、その者を引き続き当該企業に雇用しておくのが適当でないと判断することが相当と認められる場合にのみ許されると解されています。

 

ですので、例えば、履歴書の記載内容に重大でない虚偽や間違いがあった、無断欠勤を1回した、挨拶をしなかった等の場合には、裁判で争っても、本採用拒否することが社会通念上相当とはされず、試用期間終了後の本採用拒否の理由として不十分と判断される可能性が高いでしょう。

 

これに対し、試用期間の出勤率が規定を下回っている、無断欠勤が多数回ある、業務に意欲がなく上司の指示に従わない、暴言を吐く等の場合に、本採用拒否が認められる可能性があります。

 

ただし、勤務態度や業績等を理由に本採用拒否が認められるか否かは、画一的に判断できるものではなく、個別の事情をみて判断されることになります。

 

また、試用期間を延長することは、原則として就業規則等に延長の可能性等が規定された場合のみ認められるとされています。

 

なお、本採用拒否は、上述したように、留保された解約権を行使して労働契約を解除するものですので、解約の意思表示を明確にしなければなりません。

 

ですので、試用期間満了までに解約の意思表示を行ったと客観的に認められない場合には、自動的に本採用になったものと判断されます。