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5.残業代をあらかじめ一定額支払う固定残業代制の導入

最終更新日 2019年 01月19日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

残業が恒常化している会社においては、あらかじめ残業代として一定額を支払う「固定残業代制」を導入することが有効です。

 

固定残業代制を導入すれば、残業代の清算事務の軽減を図ることができます。
また、能力のある労働者は早く仕事を切り上げて、残業をせずに一定額の収入を得ることができます。
そのため、能力のない労働者が残業をしたり、いわゆるダラダラ残業をした場合に、残業代を含んだより多額の賃金を得ることになるという矛盾を回避することができるのです。

 

さらに、この制度では、額の固定給が相対的に高額になることによって、採用上の訴求力が高まると同時に、残業代部分は基礎賃金からは外れることになりますので、残業代の肥大化を抑制することができます。(【表 固定残業代制の例】)

 

ただし判例上、「固定残業代制」を導入するにあたっては、次の2点に注意が必要です。

 

①固定残業代に当たる部分が残業代として支払われているものであって基本給と明確に区別して合意されていること。
②労働基準法所定の計算方法による額が固定残業代の額を上回るときは、その差額を当該賃金の支払期に支払うことを合意した場合に限り、固定残業代に当たる部分を当該月の残業代の全部又は一部とすることができること。

 

裁判上は、これらの合意がある場合に限り、固定残業代にあたる部分を残業代の全部(あるいは一部)とすることができるとして、厳格な要件が設定されています。

 

というのも、これらの要件を満たさないままに「固定残業代制」を導入してしまうと、固定残業代を支払っているにもかかわらず、その金額が残業代として認められない可能性があるからです。そればかりか、固定残業代に当たる部分も残業代算定に係る基礎賃金に含まれることになり、かえって残業代を肥大化させることになり逆効果になってしまうからです。

 

このように、固定残業代制は非常に便利な制度であるものの、導入にあたっては慎重な対応が必要です。

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