基礎賃金から除外することのできる手当とは?
基礎賃金から除外される手当等は、大きく分けて3種類あります。
※【表 基礎賃金から除外される賃金】を参照
「家族手当」、「通勤手当」、「別居手当」、「子女教育手当」及び「住宅手当」
これらの手当は、「同一時間の時間外労働に対する割増賃金額が、労働の内容や量とは無関係な労働者の個人的事情で変わってくるのはおかしい」という考え方から除外されており、これらの手当に該当するか否かは、名称のいかんを問わず、実質的に判断されます。
したがって、「家族手当」や「通勤手当」の名目でも、扶養家族の有無や人数、通勤費用額などの個人的事情を度外視して一律の額で支給されている場合、当該手当は基礎賃金から除外することはできません。
また、「生活手当」、「物価手当」の名目でも、扶養家族の有無や人数などによって算定される手当であれば「家族手当」に該当し、当該手当は基礎賃金から除外することができるということになります。
「臨時に支払われた賃金」
臨時的・突発的事由に基づいて支払われたものや、結婚手当のように、あらかじめ確定されているものの、支給されるかどうかが不確定であり、なおかつ非常に稀に発生するものがあります。
例えば、病気欠勤や病気休職中の月給者に支給される加療見舞金や退職金などがこれに当たります。
一方、「勤勉手当」の名目で毎月、遅刻欠勤の有無等の査定に応じて支給される手当については、支給事由の発生が不確定とは言えず、臨時に支払われた賃金には当たらず、基礎賃金から除外することはできないとする裁判例がありますので、注意して下さい。
「1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金」
「賞与」や、1ヵ月を超える期間についての「精勤手当」、「勤続手当」、「能率手当」などがこれに当たります。
もっとも、「賞与」と言っても、「定期的に支給され、その支給額が確定しているもの」については、基礎賃金から除外される「1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金」には当たらないとされています。
そのため、就業規則等で「基本給の○ヵ月分」などと支給額が確定している固定賞与や、年俸制の場合に毎月払い部分と賞与部分とを合計してあらかじめ年俸が確定している場合の賞与部分などは、基礎賃金から除外することはできませんので、注意が必要です。