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債権回収を弁護士に依頼するメリットと弁護士費用

最終更新日 2024年 07月29日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

債権回収を弁護士に依頼するメリットと弁護士費用
 

この記事を読むとわかること

 
売掛金などの債権を回収できないと、会社の経営、資金繰りに大きな影響を及ぼす可能性があります。

債権者になった場合、できるだけ早期に、全額回収することを望むと思いますが、当事者(債権者と債務者)同士で約束したり話し合っても解決に至らない場合も多いのが現実です。

そうした場合、債権回収に強い弁護士に依頼すると次のようなメリットがあります。
 

  • ・早期解決を目指すことができる。
  • ・全額回収できる可能性が高まる。
  • ・手続きの負担がかからない(弁護士に代行してもらえる)。
  • ・精神的なストレスから解放される。
  • ・法的に問題となるリスクを回避することができる。 など

 
これから本記事では、債権回収を弁護士に相談・依頼した場合の具体的なメリット、対応策、債権回収の流れと実例、弁護士費用などについて解説していきます。
 

まずは債権と売掛金の違いから解説

債権とは?

債権とは、法的には“債務の履行を相手方に請求できる権利”のことです。

日常で考えると、たとえばAさんがBさんからお金を借りているなら、Aさんはお金を返す義務があります。

同時に、Bさんはお金を返すよう請求する権利があり、これが債権になります。

債権は、人(債務者)に対して支払いなどの行為を請求する権利ということになります。

売掛金とは?

会社を経営していると、売掛金が発生する場合があります。

売掛金とは、商品やサービスなどの売上の対価として将来的に金銭を受け取る権利のことになります。
売掛金は、売上にかかる債権になるので「売掛債権」の一つになります。

売掛債権は、代金を受け取ることができる権利ですから、会計上は資産とみなすことができます。

勘定科目としては、資産の部の流動資産に区分されます。
売掛債権で手形を保有しているときは受取手形、保有していないときは売掛金に分類されます。

債権回収を弁護士に相談・依頼する4大メリット

近年、売掛金などの債権の回収の相談・依頼が増えています。
さまざまな理由があるにせよ、やはり債権者となった場合は、できるだけ早期に解決したいと考えるでしょう。

しかし、債権者と債務者の当事者同士で約束をしても反故(ほご)にされたりして、なかなか回収できないという事例が後を絶ちません。

そうした場合、債権回収に精通した知識と経験が豊富な弁護士に相談・依頼することで大きなサポートと受けることができます
具体的なメリットには次のようなものがあります。

早期解決を目指すことができる

残念ながら、当事者同士で債権回収の話し合いや約束をしても、なかなか解決に至らない場合も多いと思います。

債権回収ができないと会社経営に大きな打撃となりかねません。
また、時間が経つほどに他の債権者に先を越されるなどして、回収は困難になっていきます。
債権回収はできるだけ早く対応して、早期に解決することが重要です。

こうしたケースでは複数の対応策があるのですが、弁護士に依頼することで最適な対応を選択できるので早期解決が可能になります。

精神的・物理的な負担を軽減することができる

取引先の売掛金を回収したい場合などでは、これまでの関係上、積極的に強気な対応を取りにくい場合もあるでしょう。

そうしたケースでは、弁護士に依頼することで代理人として対応に当たってもらえるので、依頼者は精神的な負担などを軽減することができます。

また、債権回収では催告書の作成や債務弁済の交渉、調停、裁判などさまざまな対応が必要になります。

こうした手続きを弁護士に依頼することで、かかる労力や手間、時間などの物理的な負担も軽減することができます。

債権額を全額回収できる可能性が高まる

債権問題は当事者間ではなかなか進展しない、全額の回収が難しいといった場合があります。

その点、弁護士に依頼することでさまざまな対応を取ることができますし、最終的には提訴して裁判での解決を図ることもできるので、全額を回収できる可能性が高まります

法的に問題となるリスクを回避することができる

相手側(債務者側)に問題があったとしても、法的に問題となるような強引な対応を取ってしまうと相手側から損害賠償請求をされてしまう可能性なども考えられます。

弁護士に依頼すれば法的に問題となる可能性を排除して、適正な対応を取っていくことができるので、リスクを回避することができます
 

<債権回収コラム①>
なお債権回収の実務は、債権回収会社(サービサー)や認定司法書士なども対応できるのですが、前者は特定金銭債権のみ、後者は債権額140万円までという法的な制限があります。

その点、弁護士には「法的なしばり」がないので安心して、すべてを依頼することができるというメリットもあります。

債権回収トラブルを未然に防ぐための5つの知識

債権回収の対応は契約の段階から始まっている

債権回収は、未払いが発生してから始まるわけではなく、じつは取引を開始する場面からすでに始まっています。

お金は人を狂わす、などともいわれますが、支払いを催促した時、あるいは訴訟になった時、債務者は「借りていない」などと、にわかには信じられないようなことや、ありもしない主張をすることがあります。

そこで重要なのが契約書を作成して、取引条件を明確にしておくことです。

この場合、最低限、次の項目を記載しておきます。
 

  1. ① 契約金額
  2. ② 契約対象の特定
  3. ③ 数量
  4. ④ 品質
  5. ⑤ 納期
  6. ⑥ 検収方法
  7. ⑦ 代金の支払い時期 など

 
なお、金銭の貸借の場合は「「金銭消費貸借契約書、」継続的な取引を行なうときは「取引基本契約書」、個別の取引を行なうときは「売買契約書」を締結しておく必要があります。
 

<債権回収コラム②>
納品書を渡して終了という扱いの場合、あとから相手が「納品されていない」と言い出すことが実際にあります。

そうした問題が起きないように、仮に個別契約が無理だとしても、見積書、発注書、受注書、納品伝票などに相手の印鑑をしっかりもらっておくようにします。

訴訟になった場合、メールでのやりとりも証拠として扱われますが、できれば定型の書式を用意しておくほうがいいでしょう。

取引相手に信用がない場合は物的担保と人的担保を取っておく

担保とは、債務者が約束を守らない場合に債権者があらかじめ設定(保全)していた権利を実行して、その設定した担保から債権を回収するためのもので「物的担保」「人的担保」があります。

物的担保とは、債務者が債務を支払わない場合に、債務者や第三者の不動産などの財産を売却するなどして、債務の弁済にあてるための権利を設定しておくことです。

人的担保とは、特定の財産ではなく、連帯保証人などに支払義務を負わせて、その人から債務を支払ってもらうようにするものです。

銀行などが融資する場合、まず不動産に「抵当権」などの担保権=物的担保をつけ、次に債務者本人以外の保証人=人的担保をつけますが、これはわかりやすい例でしょう。

ただし、通常の商取引などで担保を要求しにくい場合は、取引の途中で担保を求める方法もあります
 

  • ・少額で始めた取引が多額の取引に発展する前、あるいは当初の取引で今後の支払に心配が生じているような場合は、取引を継続する条件として担保を要求する。
  • ・返済が遅れた場合は、1か月間だけ支払期日を延期する条件として、自宅に抵当権をつけさせてくれるように交渉する。

 
これらは一例です。
ケースごとに状況、条件は違うので、詳しくは弁護士に相談されるといいでしょう。

担保契約における対抗要件とは?

じつは、債務者と担保権設定の契約を締結しても十分ではありません。
なぜなら、他の債権者とも同じ担保について、担保権設定契約を締結しているかもしれないからです。

また、債務者が債務不履行をした際に担保を換価しようとしても、既に換価済みであったり、第三者に名義変更をしている可能性もあります。

そうした事態を回避して、優先的に担保から弁済を受けられるよう、また当事者や第三者に対抗するためには「対抗要件」の手続きが必要になります。

担保の種類によって対抗要件の手続方法が以下のように違います。
そのため、担保権設定契約をする場合は内容を考慮して契約を締結する必要があります。
 

動産…引渡しを受け、占有する必要があります。
なお、動産でも登記することが可能な資産については、引渡しを受けなくても登記することで対抗要件が具備されます。

不動産…不動産登記法による登記(抵当権など)が必要です。

債権…債務者に対して通知か承諾が必要です。
債権譲渡登記という方法もあり、これが可能なら対抗要件は具備されます。

 
なお、第三者に対しては、内容証明郵便や公証役場による確定日付が必要になるので注意してください。

連帯保証人の設定について

より確実に債権回収を行なうためには、連帯保証人をとるための交渉をする必要があります。

連帯保証人は、債務者と同じ責任を負うことになります。
そのため、催告の抗弁権(債務者に先に請求せよという権利)や検索の抗弁権(債務者の資産を調査して、その資産から回収せよという権利)がありません。

債権者は、いきなり連帯保証人本人に請求することができ、請求された保証人は「債務者から回収してくれ」ということは言えません。

連帯保証人については、取引開始時に要求できなければ、約束不履行時でも構いません。

ただし、他の債権者の連帯保証をしている可能性もあるので、事前にヒアリングして確認しておく必要があります。

というのは、連帯保証の場合、物的担保のように他の債権者に優先して保証人から回収できるような対抗要件や優先弁済権がないからです。

公正証書を作成するメリット

公証人という公的な第三者に契約内容を認めてもらうことで、契約内容の証明はより確実なものになります。

そのために、公正証書を公証役場で作成することも検討してください。

通常、強制執行を行なうには、支払督促や訴訟を提起し、勝訴判決を取得してから行なうため、最低でも半年程度先になってしまいます

しかし、公正証書に「強制執行認諾」の条項を付け加えておくことで、訴訟を起こさなくても約束不履行時には、すぐに強制執行(差押)が可能になるわけです。

公正証書は、債務者と債権者が最寄りの公証人役場に出向いて作成するため手間はかかります。

しかし、公正証書を作成しておくことで債権回収がより確実なものになるので、非常に重要なものなのです。
 

<債権回収コラム③>
公正証書の作成時には、次のものが必要になります。
 

  • ・契約書
  • ・実印
  • ・印鑑証明書(3か月以内)
  • ・法人の登記簿謄本(資格証明書でも可) ※契約者に法人が含まれる場合

 

【関連記事】(別サイト 弁護士が教える法律知識) 
回収不能な債権を発生させないために~経営者必見の債権回収の基礎知識~

債権回収で取り得る実際の対応方法一覧

債権回収のために取り得る方法には次のようなものがあります。
どの対応が適切かは弁護士と相談しながら進めていくのがいいでしょう。

交渉

債務弁済に関する話し合いをして解決を目指します。

内容証明による督促状・催告書で通知

債務の弁済を促すための「督促状」を作成し、相手方に「内容証明」として郵送する方法です。

すでに請求書を出していても、ある程度の時間が経過した場合には、改めて債権者の意思を明確に書面にして督促状として送付することも大切です。

通常は、督促状を何通か送った後に、最終通告として催告書を送ります

督促状・催告書は、内容証明で送付すれば証拠に残せます。
その際は、自社にとって不利な内容にならないようにしなければいけません。

内容証明による督促状・催告書は、裁判での判決のような法的効力はありませんが、訴訟を予告して債務者にプレッシャーをかけるうえでも重要になります。
 

【関連記事】(別サイト 弁護士が教える法律知識) 
貸したお金を返してもらうには?「催促状」と「内容証明郵便」の違い

民事調停

裁判所が指定する調停委員による仲介のもと、債務弁済について話し合う方法です。

支払督促

裁判所が発送する督促状により支払いを求める方法です。

債務者が支払督促を無視すれば、債務名義が取得でき、それによって強制執行が可能となるため、債権者が直接債務者に送付する督促状よりも効果は大きくなります。
 

【関連記事】(別サイト 弁護士が教える法律知識) 
支払督促

仮差押・仮処分

訴訟提起前などの段階で、相手の財産などをあらかじめ確保するためにとる方法です。

最終的に強制執行をするためには「債務名義」が必要になりますが、判決や公正証書などの債務名義がない場合、判決取得までの間に一時的に債務者の財産を仮に押さえておく必要があります。

この手続きを「仮差押」といいます。

債権者は、仮差押だけでは財産を取り立てることができません。
そのため後日、訴訟を提起して判決を取得してから、仮差押を差押に移行します。
ここで、取り立てが可能になる仕組みです。

仮処分は、仮差押と同様に後日、判決などの債務名義を取得した後に執行したのでは、間に合わない場合に行なう手続きです。

不動産の処分を禁止するために行なう処分禁止の仮処分は、もっとも代表的なものです。
 

【関連記事】(別サイト 弁護士が教える法律知識) 
仮差押
仮処分

訴訟

債務の弁済を求める裁判を起こす方法です。

債務者との話し合いで解決しない場合は法的手続で解決するしかなく、最終的に強制執行をするためには「債務名義」が必要になります。

債務名義には、「強制執行認諾文言付公正証書」「確定した仮執行宣言付支払督促」「判決」などがあります。
 

【関連記事】(別サイト 弁護士が教える法律知識) 
訴訟

強制執行

強制的に債務者や連帯保証人の財産などを差押える方法です。

一般的な、おおまかな手順は次のようになります。
 

  1. ① 内容証明郵便を送付
  2. ② 交渉や調停に応じない場合は訴訟を提起
  3. ③ 債務者の支払に不安がある場合は仮差押
  4. ④ 判決
  5. ⑤ 勝訴判決が出ても支払いがされない場合は差押え

債権回収を弁護士に依頼した場合の費用について

債権回収を弁護士に依頼した場合の費用は、弁護士・法律事務所によって異なります。

そのため、一律の金額というものは提示できないのですが、ここでは概ねの内訳と相場金額を解説します。

相談料

相場の費用は、5,000円(30分)ほどですが、相談料は無料というケースも増えています。
みらい総合法律事務所の場合、初回相談料は無料(60分)です 。

着手金

弁護士に依頼する際に、まずかかるのが着手金です。
法律事務所によって料金体系は変わりますし、依頼内容や債権額に応じて金額設定をしている法律事務所が多いでしょう。

みらい総合法律事務所では次のような料金体系になっています。
 

<事件の経済的利益別の着手金額(税別)>

  • ・300万円以下の部分:8%
  • ・300万円を超え、3000万円以下の部分:5%+9万円
  • ・3000万円を超え、3億円以下の部分:3%+69万円
  • ・3億円を超える部分:2%+369万円
  • ※最低着手金額:20万円(税別)

報酬金

案件が終了した際に弁護士に支払うものです。

相場金額は回収額の10~20%程度ですが、各法律事務所によって、また依頼内容ごとに費用は異なるため、具体的な内容については、それぞれの法律事務所に確認をするのがいいでしょう。

みらい総合法律事務所では次のような料金体系になっています。
 

<事件の経済的利益別の報酬金額(税別)>

  • ・300万円以下の部分:16%
  • ・300万円を超え、3000万円以下の部分:10%+18万円
  • ・3000万円を超え、3億円以下の部分:6%+138万円
  • ・3億円を超える部分:4%+738万円

 
なお、回収額よりも弁護士費用のほうが高くなってしまう「費用倒れ」のケースもあるので、事前に確認することも大切です。

その他の費用

実費

裁判を起こす場合、裁判所に納める印紙代、予納郵券(切手)代、記録謄写費用、事件によっては保証金、鑑定料などが実費としてかかります。

日当

出張が必要な場合は、交通費、宿泊費、日当などがかかる場合があります。

法律事務所によって費用は異なるため、具体的な費用については事務所に確認を取ることをおすすめします。

なお、日本弁護士連合会が公表している弁護士費用に関する資料があるので、参考にしてください。
 

【参考資料】:弁護士費用(報酬)とは(日本弁護士連合)
市民のための弁護士報酬ガイド(日本弁護士連合会)

債権回収における法的手段の具体的な事例

債権回収について、ある税理士事務所を通して、当法律事務所に相談があった事例を紹介します。

相談内容

法人Aが法人Bに数千万円の貸し付けを行なった。
当初、数か月は返済があったものの、その後は返済が滞り、回収できていない。

その後、改めて金利を下げるという妥協案で債務弁済契約書を取り交わすことになったが、法人Bの社長が翻意して、新たな債務弁済契約書に印を押さなかった。

法人Aが「財産状態を教えて欲しい」と決算書等の資料開示を求めても、「できない」との一点張り。

再度、条文を微修正して契約書を締結し直そうとしたが、その直後から電話にも出なくなり、連絡がとれない状況になってしまった。

貸倒れ処理するにも税務上リスクがあるので、安易に貸倒れにもできない。
今後も会社が未収利息を計上することになれば、払う意味のない法人税を負担することになり、会社経営にとって大きな痛手になっている……。

回答

株式会社が行なう金銭消費貸借契約は、商行為であると推定されており(最高裁判決 平成20年2月22日)、特別な事情がなければ消滅時効は次のようになります。
 

  • ・権利を行使することができる時から10年
  • ・権利を行使することができることを知った時から5年

(※2020(平成2)年4月1日から施行されている「改正民法」により変更されています)

この間に「消滅時効の完成猶予」「更新」がなされていなければ、消滅時効が完成してしまい、債権は消滅しています。
 

【参考資料】:民法(債権関係)の改正に関する説明資料(法務省民事局)

 
時効の完成猶予・更新の事由としては、次のものになります。
 

  1. ①内容証明郵便などによる催告
    ※ただし、6か月以内に別途完成猶予の手続きをとる必要があります。
  2. ②裁判上の請求
    ※訴訟、支払督促などの申立によって中断します。
  3. ③差押え・仮差押え・仮処分
  4. ④債務の承認
  5. ⑤協議を行う旨の合意

 
この事例の場合、本人たちが認めているので「債務承認」による更新の可能性がありますが、書面がないため立証できず、債権は時効により消滅している可能性があります。

ただし、消滅時効は当事者が時効を援用(時効の完成を主張すること)しなければ効力を生じません。

そこで、次の方法が考えられます。
 

  1. ①利息や返済時期は不要なので、とにかく貸金債務を承認することだけは書面(債務承認書)で認めてもらう。
    この場合、決算の関係で必要といえばよいかと思います。
     
  2. ②書面が取れても取れなくても貸金返還請求訴訟を提起する。
     
  3. ③訴訟を起こしたうえで、
  4. 1.和解による回収を目指す。
    2.法人A・Bが消滅時効を援用した場合で、債務承認を主張したが認められなかった場合は、貸倒処理をする。
    3.勝訴判決を得た場合は、
    ・強制執行手続を行ない、回収努力をする。
    ・回収できない場合は「財産開示の申立」を行ない、法人Bの財産を開示するよう求める。
    ・財産があれば強制執行するが、債務超過ないし不出頭と思われるので、その時点で「法人税法基本通達9-6-2」の要件を検討し、貸倒処理する。

 
「法人税法基本通達9-6-2」
法人の有する金銭債権につき、その債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになった場合には、その明らかになった事業年度において貸倒れとして損金経理をすることができる。

金銭債権の全額が回収不能といえるかどうかに関する判断基準としては、次の判例があります。

「債権回収に必要な労力、債権額と取立費用との比較衡量、債権回収を強行することによって生ずる他の債権者とのあつれきなどによる経営的損失等といった債権者側の事情、経済的環境等も踏まえ、社会通念にしたがって総合的に判断される」
(興銀事件:最高裁 平成16年12月24日判決)

したがって、次の手順で処理をしていくことになると思います。
 

  1. ①弁護士に債権回収を依頼して訴訟をし、
  2. ②判決に基づき、考えられる限りの強制執行をし、
  3. ③財産開示の申立を行ない、
  4. ④その他、資産調査や債務者事務所の現地調査等を行ったうえで、
  5. ⑤弁護士より債権全額の回収の見込がない旨の意見書をもらったうえで、
  6. ⑥貸倒損失処理をする

顧問弁護士との契約も検討してください!

債権回収は、当事者同士で解決するのは難しいのが現実のため、弁護士を活用するのが解決への近道となります。
債権回収は早期の対応が大切ですから、すぐに弁護士に相談・依頼されるのがいいでしょう。

なお、すぐに相談・対応できるように顧問弁護士を身近に置いておくこともおすすめします。

顧問弁護士であれば、優先的にあなたの代理人となって、法的手段により債権回収に対応できます。
いざという時、速やかに対応ができる顧問弁護士を持っていることは、経営者としては理想的なことではないでしょうか。
 

 
なお、弁護士であれば誰でもいいわけではありません。
債権回収に精通した弁護士を選んでいただきたいと思います。
 

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