休日のアルバイトを禁止できるか?
休日とは、労働者が、労働契約上労働義務を負わない日のことをいいます。
使用者が休日に労働者を労働させることができないのはもちろん、労働者は休日を自由に利用でき、使用者が休日中の労働者の行動に制約を加えることはできないのが原則です。
これは、労働基準法上、休憩時間についてさえ自由利用の原則が規定されている(労働基準法34条)ことからも明らかです。
そのため、本来であれば、休日に他の使用者の下でアルバイトを行うのも自由であるといえそうです。
しかし、実際には、休日のアルバイト等の兼業を禁止する企業が多くあるのが現状であり、就業規則等により二重就職(兼業)を禁止すること自体は、事情の如何を問わず絶対的に兼業を禁止するようなものでなければその合理性が認められ、有効であると考えられており、裁判例上も、その有効性は認められています(東京メディカルサービス事件 東京地判平成3年4月8日労判590号45頁等)。
これは、休日を付与する趣旨が、労働者を労働から解放し、労働者の疲労回復を図ることにあることを考えると、アルバイト等の兼業を禁止することにも一定の合理性があると考えられることなどが背景にあると思われます。
ただし、このような兼業禁止規定に違反した場合でも、それに対する懲戒処分は慎重に行う必要があります。
というのは、裁判例では、兼業した場合であっても、それが会社の職場秩序に影響せず、且つ、会社に対する労務の提供に各別の支障を生ぜしめない程度・態様である場合には、兼業禁止規定の違反とはいえないとされているからです(橋元運輸事件 名古屋地判昭47年4月28日判時680号88頁)。
裁判例では、病気休職中の工員が、約10日間、1日2、3時間程度知人の工場を手伝っていたという事案では、会社の企業秩序に影響せず、会社に対する労務提供に格別の支障を生じさせないものについては、就業規則で禁止される二重就職にはあたらないとして、懲戒解雇を認めませんでした(平仙レース事件 浦和地裁昭40年12月16日判決)。
これに対し、労働者が他の使用者の下で継続的雇用関係を結び、自社での就労に引き続いて1日8時間以上他社で就労していたという事案では、「その疲労度は加速度的に累積し、従業員たる地位において要請される誠実な労務の提供は遂には殆んど不可能となるであろうし、安全衛生上の事故の発生、これに伴う使用者側の損害並に各種補償義務負担等の危険性が著しく増大する」として、懲戒解雇を認めたものがあります(永大産業事件 大阪地裁昭和32年11月23日判決)。