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賃金を完全歩合制にできるか?

最終更新日 2014年 09月29日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

労働基準法第27条では、「出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない」と定められています。

 

この規定は、出来高払制や歩合制で働く労働者が、原料粗悪のため出来高が上がらなかったり、就業したにもかかわらず客不足などで実収賃金が低下した場合でも、一定額の賃金の保障(保障給)を使用者に義務付け、労働者の保護を図ろうとしたものです。

 

したがって、賃金を完全歩合制にすることは労働基準法違反となります。

 

保障給は、労働時間に応じた一定額のものであることが必要であり、一般的には時給×労働時間で計算されます。

 

実際の労働時間と関係なく、単に1ヵ月に一定額の支払いを保障するものは、ここでいう保障給には当たりません。

 

保障給の金額については、通常の実収賃金とあまりへだたらない程度の収入を保障すべきとされています。

 

具体的には、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合に使用者が労働者に支払う休業手当が平均賃金の100分の60以上と規定されていることから(労働基準法26条)、保障給についても、少なくとも平均賃金の100分の60以上とすることが妥当とされています。

 

一定額の意味については、個々の労働者について、従事する労働内容が同種である場合は一定額を保障するという意味です。

 

ですから、異なる労働者間で、年齢や経験によって金額に差をつけることは問題ありません。

 

また、従事する労働内容が別種である場合には、同じ労働者でも異なる金額の保障給とすることも問題ありません。

 

労働者が、労働者の責に帰すべき事由で就業しなかった場合には、賃金の支払義務はないため、保障給の支払義務も当然ありません。

 

使用者が保障給の支払いを行わずに完全歩合制をとったような場合には、30万円以下の罰金に処せられます(労働基準法120条)。

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