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年次有給休暇の時季変更権とは?

最終更新日 2014年 09月30日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

労働基準法では、使用者は、その雇入れの日から起算して6ヶ月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、10労働日の有給休暇を与えなければならない、と規定し(労働基準法39条)、年次有給休暇を労働者の権利として認めています。

 

さらに、使用者は、有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない、と規定しています(労働基準法39条5項)。

 

ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季に変更することができます(同項ただし書)。

 

すなわち、使用者は、原則として、年次有給休暇を労働者の請求する日に与えなければなりませんが、例外的に、指定された日に年次有給休暇を与えると事業の正常な運営を妨げる場合には、他の時期に変更することができることになります。

 

この例外的な場合に使用者が年次有給休暇を他の時期に変更することができる権利を、時季変更権といいます。

 

使用者が時季変更権を行使できるのは、「事業の正常な運営を妨げる場合」とされていますが、どのような場合に事業の正常な運営を妨げるといえるのかが問題となります。

 

通達では、事業の正常な運営を妨げる場合とは、個別的、具体的に客観的に判断されるべきで、事由消滅後はできる限り速やかに休暇を与えなければならない、としています(昭和23年7月27日 基収2622)。

 

したがって、事業の正常な運営を妨げる場合にあたるか否かについては、個別的、具体的事情から判断されることになり、明確な基準があるわけではありませんが、判例等の動向をみると極めて限定的に判断がされているといえます。

 

もっとも、長期休暇の時季指定の場合には、事業への支障は一般的に大きいことが予想されるため、使用者にある程度の裁量的判断の余地が認められる傾向にあります。

 

なお、時季変更権を行使できる場合、使用者は、請求された日に有給休暇を付与することが事業の正常な運営を妨げる事由が存在するという内容の意思表示あるいは単に労働者の請求された日を承認しないという意思表示をすれば足り、代わりの時期を使用者が提案する必要はありません。

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