問題社員への対応方法とは?社員を辞めさせる前に知っておくべき知識

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社内外で問題行動を起こし、会社の不利益になることをする社員がいます。

 

いわゆる一般常識的には信じられないような言動で会社に迷惑をかける「問題社員」です。

この問題社員への対処・対応を間違えるとさらに大きな労働トラブルに発展する可能性があります。経営者・管理職は問題社員の特徴を知り、対応法を学んでおく必要があります。

 

以下の講座でも解説しています。

⇒問題社員から会社を守る「問題社員対策プログラム」
解雇する前に知っておくべき手続きと知識を解説

 

事実は小説より奇なり、という言葉がありますが、「本当のことなの?」、「そんなのありえない!」と思えるような問題が現実に起きています。

 

しかし、経営者や役員、管理職の人の中には、こんなふうに考えている人がいます。

 

「1人が問題あるだけで、小さなことだ」、「まだ大きな問題になっていないから大丈夫」、「いずれ心を入れ替えて、がんばってくれるだろう」……。

 

本当に、そうでしょうか?
果たして、問題社員のトラブルは、時が解決してくれるのでしょうか?

 

いえいえ、とんでもありません。
時が経つとともに問題は大きくなって、取り返しがつかないことになってしまう可能性があります。

 

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さて、過去にどのような裁判例があるのか調べてみたところ、会社側が惨敗というケースも次々と出てきました。

知れば知るほど、怖くなってきます…。

 

「判例① セクハラ」
社員管理をしっかりとしていなかったばかりに、会社が高額の賠償金を支払うはめに…。

 

アデランスで起きたセクハラ事件(大阪地裁 平成26年11月28日和解)
かつら製造・販売の最大手「アデランス」のある店舗に勤務していた元従業員の女性が、別の店舗の店長だった男性従業員から繰り返しセクハラを受けて心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症し、退職を余儀なくされたとして損害賠償を求めた訴訟で、同社が女性に解決金1300万円を支払うなどの内容で和解が成立。

 

「判例② 私生活犯罪」
犯罪者を解雇することができず、従業員として雇い続けなければいけないことに…。

 

横浜ゴム事件(最高裁 昭和45年7月28日判決)
従業員が私生活において、他人の住居に理由なく侵入したとして、住居侵入罪で罰金2500円を科されたため、懲戒解雇したところ、懲戒解雇は無効との判決。

 

「判例③ 私用メール」
公私混同の激しい、常識のない問題社員も解雇することができない!?

 

グレイワールドワイド事件(東京地裁 平成16年9月22日)
従業員が、約1ヵ月間の出勤日20日間のうちに、会社から貸与されたパソコンを使用して就業時間中に39通の私用メールを送受信。さらに会社内外に対して経営批判を繰り返し、メール中にCEOのことを「アホバカCEO」、「気違いに刃物(権力)」などと表現した。会社は従業員に事情聴取を行ったが、 反省の意思も態度もないので解雇したところ、懲戒解雇は無効との判決。

 

「判例④ メンタルヘルス不調」
無断欠勤を繰り返し、就業規則に違反した問題社員の解雇も無効とされるケースも!

 

日本ヒューレット・パッカード事件(最高裁 平成24年4月27日判決)
システムエンジニアが被害妄想などを抱き、休職を求めたが認められず、逆に出勤を促されたため、約40日間欠勤した。そこで、会社は、「正当な理由なしに無断欠勤引き続き 14日以上に及ぶとき」として諭旨解雇処分としたところ、諭旨解雇処分は無効との判決。

 

今まで、さまざまな問題社員トラブルの相談を受けてきましたが、会社にとって事はそう単純で、簡単なものではありません。

 

納得いかないと思う人もいるかもしれませんが、日本の労働関係法令では社員は手厚く守られているために、何か問題を起こしたとしても、そう簡単には解雇できないのです。

 

そこで今回は、会社に不利益とトラブルをもたらす可能性のある社員を“問題社員”として取り上げ、実際にあった事例から、問題社員の対処法を3ステップで法的に解説していきます。

 

ぜひ参考にしていただき、会社を守っていただきたいと思います。

 

問題社員は、あなたの会社にも潜んでいるかもしれません……。

 

 

以下の講座でも解説しています。

⇒問題社員から会社を守る「問題社員対策プログラム」
解雇する前に知っておくべき手続きと知識を解説

 

 

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STEP1:問題行動・特徴・事例を確認

入社当初から正当な理由が無い遅刻や無断欠勤を繰り返している新卒社員。
「体調が悪い」といっては早退し、合コンをしているという目撃情報も。社長は、「まだ学生気分が抜けないのだろう、そのうちしっかりしてくれるだろう」と最初は大目に見ていました。
しかし、1年近く経ってもしっかりするどころか、最近では無断欠勤も増えてきて…。

 

STEP2:問題点を法的に解説

遅刻・早退・無断欠勤…どれも本来果たすべき労働契約上の義務を果たせていません。
当然、「労働契約の債務不履行」により普通解雇事由にあたります。
問題は、①会社としてはどのような手続をとって解雇すべきか、②「解雇権の濫用」と判断されることを回避するにはどこまでやるべきか、です。
さらには、懲戒解雇ができるかもポイントになります。

 

STEP3:どう対処するか?

会社は簡単に従業員を解雇できません。
それは、「解雇権濫用の法理」があるからです。

 

解雇権濫用の法理とは、解雇することが著しく不合理であり、社会通念上相当なものとして是認することができないときには解雇権濫用として解雇が無効になる、というものです。

 

たとえば、1度の無断欠勤では解雇は認められず、何回も繰り返され、その積み重ねによって業務遂行上の問題が生じるような場合に解雇は認められるのです。

 

会社としては次のような対応をして、最終的に解雇に踏み切る必要があります。

 

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ところで、このケースの場合、懲戒解雇は可能でしょうか?
過去の判例では、所定の手続をとらず、7回早退を繰り返し、会社からその都度注意され、文書での注意も2回受けたにも関わらず改善せず、過去にも3回同様の問題で出勤停止の懲戒処分を受けていた社員の懲戒解雇が認められています。

 

無断欠勤は、遅刻・早退と比べてより業務に与える影響が大きいですし、企業秩序を乱すものとして懲戒事由には該当しますが、懲戒解雇まで踏み切れるかはケースバイケースです。
勤務態度のチェックを1ヵ月間とするなど、短いスパンで見ていくのがよいでしょう。

 

私傷病の場合、診断書等を提出させ、休職させたうえで退職もしくは普通解雇とするほうがよいでしょう。

 

以下の講座でも解説しています。

⇒問題社員から会社を守る「問題社員対策プログラム」
解雇する前に知っておくべき手続きと知識を解説

 

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STEP1:問題行動・特徴・事例を確認

ある中堅メーカーの社長は大喜びでした。なぜなら、超エリート社員を採用できたのですから。
彼は33歳。東大を卒業後、某外資系証券会社に勤務。その後、アメリカの名門大学に留学しMBAを取得したといいます。
ところが入社後、思わぬ展開に…彼は、まったく仕事ができず、英語もろくに話せないことが発覚したのです。
じつは、すべてがウソ、経歴は偽装でした。
高い給与を払うのは無駄だし、怒りに震えたNさんは即刻、懲戒解雇にしたいと言いますが…。

 

STEP2:問題点を法的に解説

一般的に、経歴詐称は懲戒事由として定められているので、懲戒解雇は可能でしょう。
しかし、懲戒処分の中でもっとも重い処分であるため、社員から不当解雇として訴えられる可能性があります

 

STEP3:問題社員にどう対処するか?

過去の判例では、経歴詐称は多くのケースで懲戒解雇が認められています。
なぜなら、会社と社員の労働契約は互いの信頼関係が基本となって継続されるものであるため、社員は会社に真実を告知する義務を負う、とされているからです。

 

学歴の詐称(過大申告)は、社員の労務提供に対する会社の評価を誤らせ、高い給与が支払われたり、他の社員と人事コースが異なる設定の場合、その後の労務管理にも支障をきたすことは明白です。
また、職歴の詐称に関しても、中途採用では仕事内容が賃金設定に大きく影響します。

 

よって、このケースでは懲戒解雇に踏み切っても問題ないと考えられます。

 

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STEP1:問題行動・特徴・事例を確認

業務時間中、ある社員が会社のパソコンで友人とメールのやりとりをしているようです。
パソコンもメールアカウントも仕事のために与えているため私的利用はしないように注意しても、改善されないといいます。
また、別の社員は、会社のボールペンや付箋、コピー用紙などの備品を持ち帰り、自宅で使用しているようです。
注意すると、「仕事上使っていたものをたまたま持ち帰ってしまっただけ」、「明日、持ってくれば問題ないでしょう」などと言うそうです。
どれも大した金額のものではないのですが、やはり許せないと社長は言います。

 

STEP2:問題点を法的に解説

電子メールの私的利用については、業務に支障をきたしているのであれば債務不履行として普通解雇事由にあたるといえます。
就業規則に、電子メールの私的利用が懲戒事由として規定されている時に、懲戒処分が可能か、が問題となります。
また、刑法上、備品の持ち帰りは「窃盗罪」や「横領罪」等にあたりますが、会社としてどの程度の懲罰にするのかが問題となります。

 

STEP3:問題社員にどう対処するか?

社員には「職務専念義務」があるため、義務に違反しているといえるほどの頻度でメールし、まったく仕事しないのであれば、普通解雇事由に該当します。

 

しかし、1日に数回程度のメールであれば、日常の社会生活を営むうえで通常必要な外部との連絡として許されるということになるでしょう。
それに、従業員のメール使用は会社にとって経済的負担はほとんどありません。
よって、電子メールの私的利用については、業務に支障をきたさない程度の場合には懲戒の対象とはならないとされています。

 

会社としては、就業規則に「電子メールの私的使用を禁止」と定めたうえで社員に周知徹底し、業務に支障をきたすほどの私的利用があれば書面による注意を経て、懲戒を検討していくことになります。

 

会社の備品の持ち出しについては、被害額が軽微であっても、完全に自宅に持ち帰り、自宅で使用しているのであれば犯罪です。
ただ、懲戒するにしても、被害額が軽微であれば、いきなり懲戒解雇は重すぎるので、書面で注意をした後、戒告等の比較的軽微な懲戒処分を下すなど、段階を踏むことになるでしょう。

 

ところで、会社は社員のメールや持ち物を調査することはできるのでしょうか?

 

電子メールについては、社会通念上相当な範囲を逸脱した閲覧・調査がされない限り、適法とされています。

 

所持品検査に関しては、裁判例では以下の要件が必要とされています。
・検査が合理的理由に基づいて行われること
・検査の方法ないし程度が一般的に妥当なものであること
・制度として画一的に実施されるものであること
・検査が就業規則等明示の根拠に基づいて行われること

 

なお、所持品検査が身体に及ぶ身体検査の場合は、より慎重な対応が求められます。
警察でさえ身体検査には、それなりに重い要件が課せられています。

 

以下の講座でも解説しています。

⇒問題社員から会社を守る「問題社員対策プログラム」
解雇する前に知っておくべき手続きと知識を解説

 

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STEP1:問題行動・特徴・事例を確認
ある金融関係の会社で新卒一括採用したところ、営業担当の社員Aが半年過ぎても契約がひとつも取れず、会社始まって以来、初めてのことだそうです。
会社は、能力不足の社員をすぐにでも解雇したい考えのようです。

また、ある食品メーカーでは製造部に配属した新卒社員が、協調性がなくて困っているとのこと。
作業が始まった途端にトイレに行ったり、まったくあいさつせず他の社員とコミュニケーションをとれないそうです。
しかも、この社員だけ大学卒であることから、他の社員を見下すような態度をとるらしく、全員からはブーイングの嵐。
そのせいで、製造部全体の生産性が落ちているため、この社員を解雇したいようです。

 

STEP2:問題点を法的に解説

能力不足の社員を雇っていても会社に何のメリットもないですし、協調性ゼロ社員のせいで他の社員がやる気をなくし、部署の全体の士気・生産性が低下するのであれば解雇したいところですが、やはり「解雇権の濫用」が問題になってきます。

 

STEP3:問題社員にどう対処するか?

日本の場合、新卒の採用段階では、配属先も業務内容も決められていないケースがほとんどでしょう。
であるなら、具体的な職務遂行能力が社員との労働契約の内容として特定されているわけではないということになります。
つまり、契約が取れなかったからといって、すぐに債務不履行による普通解雇を行うのは難しいでしょう。

 

営業能力がなければ、経理部に配置転換するなり、会社が徹底指導して成長させるべきでしょう。
ちなみに、一般事務職の場合は新卒一括採用者よりもさらに普通解雇は難しいといえるでしょう。
労働契約の内容と能力の関係について、総合職よりさらにその関連性が薄いため債務不履行とは言い難いのです。

 

対して中途採用者の場合は、何らかの能力が期待されていることが多いので、あまりに能力が不足している場合は普通解雇が可能となるでしょう。

 

協調性ゼロ社員の場合は、解雇権濫用の法理から、いきなり普通解雇したのでは無効と判断されるでしょう。
まずは指導することが必要ですし、それでもダメなら、協調性不足のため配転すること、次の部署では協調性をもって働くよう指導し、可能であれば2~3回の配転は試みるべきです。
それでも改善されない場合、企業の秩序維持上必要であれば、解雇は社会通念上相当であり有効とされると思われます。

 

なお中小企業では、配転が困難であれば厳重な注意を重ね、書面により証拠を残しておき、場合によっては懲戒処分を行い、それでも改善されない場合は普通解雇にするという順序で進めていきます。

 

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STEP1:問題行動・特徴・事例を確認

精密機器の研究・開発・製造をしている会社のケースです。
競争が激しく、技術も日々進歩していく業界で、この会社は社員を家族と考え、全社員が一体となって最先端の製品を開発してきたそうです。
ところが、研究部の課長が多額の金銭と引換えに、競合大手に秘密情報を漏洩していたことが発覚。
当然、解雇するとのことですが、どう対処すればいいか悩んでいるようです。

 

STEP2:問題点を法的に解説

多くの場合、社員による企業秘密の漏洩は就業規則上、懲戒事由に定められているはずですですから、その規定に従って懲戒処分を行っていくことになります。
また、会社が被る損害に関して損害賠償請求、競合会社に対する「不正競争防止法」を理由とした差止請求や、刑事罰の可能性もあるでしょう。

 

STEP3:問題社員にどう対処するか?

企業の秘密情報漏洩という重大なことだけに、会社の損害が甚大であれば、懲戒解雇も有効とされるでしょう。
当然、問題の社員に対して損害賠償請求していくことも可能です。

 

1人の社員に損害賠償請求しても、回収できる賠償金は会社が被った損害を補填するものにはならない場合がほとんどでしょう。
しかし、再発防止のためにも、他の社員に対して会社の厳格な態度を示しておくのも重要なことです。

 

同時に競合会社に対しては、営業秘密不正使用として、不正競争防止法により差止請求を行います。
さらに、秘密情報の取得行為そのものに関しては、取得者と競合会社の双方に対して刑事罰の対象であるとして刑事告訴することになるでしょう。

 

以下の講座でも解説しています。

⇒問題社員から会社を守る「問題社員対策プログラム」
解雇する前に知っておくべき手続きと知識を解説

 

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STEP1:問題行動・特徴・事例を確認

地域での評判もいい中高生を対象にした予備校が、ある日パニックに!
社員である講師A氏のところに、やくざ風の3人の男が借金の取り立てに来たのです。
「Aはいないか!金を受け取りに来たよ!」と大声で職員室内を歩き回ったり、授業中の教室を回って、「Aはお金を借りたのに返さないんだよ、悪い奴だね!」と、大声で話しながらA氏を探し回ります。
授業は妨害され、生徒や他の社員はおびえて、噂は地域で一気に広まりました。
予備校の評判が落ちているのでA氏を早急に解雇したいと理事長は言うのですが。

 

STEP2:問題点を法的に解説

A氏は、私生活上の問題で会社に損害を与えているわけですから懲戒の対象となるように思えます。
しかし、暴力団等による取立てはそもそも違法行為ですから、A氏には非はありません。
そこで、企業秩序を乱したとして懲戒処分できるかがポイントになります。

 

STEP3:問題社員にどう対応するか?

会社と関係のないところで借金を重ねていたとしても、基本的に労務提供に支障はありませんし、企業秩序を乱すことにつながりません。
つまり、私生活上の行動は、原則として懲戒の対象にはならないのです。
よって、このケースでも借金をしていたこと、暴力団が取立てに来たことで懲戒解雇等の処分を行うことはできないでしょう。

 

違法な取り立ては、刑法上の「恐喝罪」になる可能性がありますし、債権者が貸金業法上の貸金業者であれば、貸金業法にも違反することになります。
会社としては毅然とした態度で対応し、即刻建物内から出て行くことを求め、出て行かなければ、警察を呼ぶ等の措置をとる必要があります。

 

問題の社員に対しては懲戒の対象とはできませんが、弁護士に依頼し債務整理手続をとるように勧めるなど、根本的な解決を促すことが大切です。
また、配転が可能な企業であれば、業務上の必要性があるとして、配転すべきですし、強要に至らない程度の退職勧奨をすることも可能です。

 

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上記の7つの事例からもわかるように、問題社員にはさまざまなパターンがあります。

 

会社としては、その状況に応じて対処していかなければいけませんが、多くのケースでは、注意を繰り返し、軽い処分から徐々に重い処分に移っていくことになります。

 

1.穏当な方法で注意することから始める
問題が極めて重大であれば、最初から解雇に踏み切ることも考えられますが、多くのケースでは、いきなり解雇に踏み切ると違法と判断される可能性が高いでしょう。

 

まず会社が行うべきは、多くのケースでは事実上の「注意」ということになります。
注意をする際のポイントは、口頭で行うだけでなく、注意内容を書面で交付し、それを記録として残しておくことです。
「会社としては何度も注意したのに改善されなかった!」という証拠を残しておくことが重要です。

 

2.異動・転勤・出向で職場から排除する
セクハラなどの場合、問題社員が被害を受けた社員と接触しないように異動・転勤・出向させることが考えられます。

 

しかし、転勤先がセクハラを抑止できる環境でないならば、その転勤は「合理性のない命令で違法」と判断される可能性があります。
また、出向となると社員の同意が原則として必要となります。

 

職種変更を伴う異動命令は権利濫用にならないか慎重に検討する必要があります

 

3.懲戒権を発動して懲戒処分を下す
注意しても問題が改善しない場合、就業規則に定められる懲戒を検討します。

 

懲戒処分には、減給や賞与減額、降職・降格、出勤停止、諭旨解雇、懲戒解雇などがありますが、その行使は社員の生活に多大な影響を及ぼすことから、問題の重大性や頻度に照らして必要相当な懲戒権行使を行わなければなりません。

 

4.合意退職をすすめる
解雇に踏み切る前に合意退職という解決ができないか模索してみましょう。

 

解雇は、その有効性が争われるリスクがありますが、合意退職の場合そのリスクは低く、また万が一、労働審判や裁判で争われたとしても社員は合意して、ほとんどの場合は一定の金員を受け取って退職していった以上、会社に不利な判断がなされる可能性は減るでしょう。

 

5.普通解雇と懲戒解雇に踏み切る
最終手段として、普通解雇と懲戒解雇に踏み切ることになります。

 

しかし、前述のように「解雇権濫用の法理」が確立しているので、解雇が認められるかどうかは次の要素などを考慮して判断されます。
・事実上の注意や(解雇を除く)懲戒などで対応し、問題社員に改善の機会を与えたか
・業務上どの程度支障が生じたか
・会社側の態度(弁明の機会を与えたかなど)

 

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会社の社長や、人事・総務担当者の方が相談に来る段階では、みなさんが「今まで散々注意してきたのに改善されない!」、「もう我慢の限界だ!解雇したい!」と言います。

 

しかし、問題は今まで注意してきたという事実を記録して、残していないことなのです。

 

前述したように、普通解雇や懲戒解雇が有効とされるためには、必要相当な注意や処分を繰り返し、適切な指導・教育を行い、問題社員に弁明の機会も与え、それでも改善されなかったといえることが必要になってきます。

 

往々にして、問題社員は自分の行為を棚に上げて会社に対して、社員としての地位確認や賃金支払いを求めてくるものです。
さらには、そもそも問題行為があったことすら否定してくる者もいます。

 

「証拠作り」とは、次のようなことです。
・業務日誌等に問題行為を記録する
・注意や処分を行う場合には書面を交付し、同内容のものを会社に保管する(受け取ったことを承認する社員の署名等を取得しておくと、なおよいでしょう)
・社員に反省及び再発防止について念書を提出させる

 

労働審判や裁判で苦しい戦いを強いられないためにも、これらを揃えたうえで、軽い処分を重ね、最終的に解雇等に踏み切ることが大切です。

 

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