みらい総合法律事務所
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残業代請求の方法と弁護士に相談すべき9つの理由

最終更新日 2024年 06月14日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

1週40時間以内・1日8時間以内の労働時間を法定労働時間(労働基準法32条)といい、これを超えて労働した場合は、会社は、労働時間分の割増賃金を支払う必要があります。

割増賃金とは、使用者が労働者に時間外労働(残業)、休日労働、深夜労働(午後10時から午前5時までの間の労働)を行わせた場合に支払わなければならない賃金のことです(労働基準法37条)。

この記事では、これらを合わせて「残業」と呼ぶことにします。

割増率は、時間外労働に対しては通常の賃金の2割5分以上、1か月60時間を超えて時間外に労働させた場合には5割以上、休日労働に対しては3割5分以上、深夜労働に対しては2割5分以上です。

また、時間外労働が深夜業となった場合、合計5割以上(2割5分+2割5分)の割増率となり、休日労働が深夜業となった場合は6割以上(3割5分+2割5分)の割増率になります。

ただし、休日労働に関しては、そもそも時間外労働の概念がないため、たとえ休日労働が8時間を超えたとしても、それが深夜にわたらない限り、休日労働の割増のみで3割5分以上となります。

ここでは、支払いを受けられる割増賃金を「残業代」と呼ぶことにします。

残業代を請求するには、残業代を正確に計算し、会社に対して書面で請求して交渉し、交渉が決裂したら、労働審判や裁判を起こしていくことになります。

残業代請求の場合には、証拠集め、正確な計算、交渉や法的手続きなどの点で弁護士に相談することをおすすめします。

本記事では、これらの点を網羅的に解説しますので、最後まで読んで、決して損をしないようにしてください。

労働時間と給与の関係とは?

残業代計算の前提となる法定労働時間とは

多くの会社は、当然のように労働者に残業を命じています。

しかし、実は、法律の原則では、法定労働時間を超える残業を命じてはいけないこととされているのをご存じでしょうか?

労働基準法は、「法定労働時間」を定めています。

法定労働時間とは、法律の定める基本の労働時間です

人を雇用するとき、基本的に法定労働時間を超えて働かせてはなりません。

一般的な労働者のケースにおける法定労働時間は「1日8時間、1週間40時間」です。

基本的に法定労働時間を超えて働かせると違法となりますが、労働組合や過半数の労働者を代表する労働者と「36協定」という協定を締結していると、法定労働時間を超えて働かせることが可能となります。

実際には多くの企業が36協定を利用して労働者を働かせています。

その結果、残業が可能となっている、ということです。

法内残業と法定労働時間外残業(法外残業)

残業には「法内残業」と「法定労働時間外残業(法外残業)」の2種類があります。

法内残業は、会社が決めた所定の労働時間を超えて働いたけれども、法律上許される法定労働時間内におさまっている場合の残業です。

たとえば所定労働時間が1日7時間の労働者が8時間働いたら、1時間は残業ですが法定労働時間内なので法内残業となります。

法定労働時間外残業(法外残業)は、法定労働時間を超えて働いた場合の残業です。

たとえば所定労働時間8時間の労働者が10時間働いたら、2時間が法定労働時間外残業となります。

残業したら給料が発生する

法内残業であっても法定労働時間外残業であっても、残業をしたらその分の給与が発生します。

もともとの会社と労働者との間の契約では、月の給料と労働時間が決められていますが、その給料は、所定労働時間を予定したものだからです。

所定労働時間を超えて働いたからには、余分に働いた分の給与を請求できる決まりになっています。

これが、いわゆる「残業代」と言われるものです。

残業代に関するルール

残業代については、法律がさまざまなルールを設定しています。

残業代計算における割増賃金

まず「割増賃金」という決まりがあります。

割増賃金とは、法定労働時間を超えて働いた場合に、多めに賃金を払わねばならないルールです。

法定労働時間を超えて働くと、労働者の心身に大きな負担がかかるので、その分の保障が必要となるからです。

法定労働時間を超えて働いた場合の割増率は1.25倍で計算するルールなので、法外残業をすると、通常の給与の1.25倍の残業代を請求できます。

また割増賃金は、深夜労働や休日労働の際にも適用されます。

深夜労働(午後10時から翌午前5時までの労働)の場合の割増賃金は1.25倍、休日労働の場合の割増賃金は1.35倍で計算します。

残業が深夜に及んだ場合、法外残業と深夜労働の割増賃金がかさなり、1.5倍の割増賃金で計算して請求可能です。

同じように、休日に法外残業をした場合(8時間を超えて働いたケースなど)では、1.6倍の割増賃金で計算して請求できます。

以上に対し、法内残業の場合には割増賃金は適用されないので、1.0倍(そのまま)の計算となります。

残業代計算の端数処理について

残業代を計算するときには「端数」が発生するケースも多くあります。

たとえば残業時間について、15分や30分、1時間に満たない端数が発生することもありますし、残業代についても1円や10円に満たない端数が発生します。

このような場合の計算をどうするかが問題となります。

労働基準法では、基本的に労働時間を1分単位で把握するよう求めています。

会社によっては30分未満の残業時間を切り捨てて計算する場合などもありますが、そのような計算方法は違法です。

残業したら「1分単位」で計算して残業代を請求できることを覚えておきましょう

ただし1か月単位で労働時間を把握する場合、30分未満を切り捨てたり30分以上を切り上げて計算することは認められています。

次に残業代の金額については、1円単位で計算する必要があります。

50銭未満の場合には切り捨て、50銭以上の端数があれば切り上げて計算します。

なお労働基準法上は上記のルールとなっていますが、「労働者に有利に修正する」のであれば問題ありません。

たとえば「30分未満はすべて切り上げ」「100円未満はすべて切り上げ」などにして計算することは可能です。

残業代不払いは違法

当然のことですが、残業代の不払いは違法です。

36協定を締結していても残業代を支払っていなかったら労働基準法違反です。

残業代を不払いにすると、以下のようないろいろなリスクが発生します。

残業代の遅延損害金

残業代を不払いにしていたら、企業は高額な遅延損害金をつけて労働者に残業代を支払わねばなりません。

遅延損害金の割合は、ケースによって異なります。