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自宅待機は給料を支払う義務があるか?

最終更新日 2014年 09月29日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

自宅待機の時間が労働時間と呼べるのであれば、給料の支払義務が発生することになりますので、自宅待機が労働時間にあたるか否かが問題となります。

 

労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれた時間のことをいいます(三菱重工業長崎造船所事件 最高裁一小平成12年3月9日民集54巻3号801頁)。

 

この点、自宅待機の時間は、実際に呼び出されたりしない場合には、基本的にどのような過ごし方をするかは労働者の自由です。

 

待機中は連絡がつく場所にいなければならなかったり、呼び出し用の携帯電話を持つことを命じられたとしても、実際に呼び出されない限り、使用者からの指揮命令が直接及んだとは評価されません。

 

したがって、自宅待機の場合は労働時間にはあたらず、給料の支払義務もありません。実際に呼び出されて業務に従事した場合にのみ、給料を支払えばよいことになります。

 

例えば、裁判例上も、ガス漏配管工事のため寮で待機する時間について、高度に労働から解放されていたとみるのが相当であり、労働時間には当たらないとされています(大道工業事件 東京地判平成20年3月27日労判964号25頁)。

 

これに対し、労働者を事業所内で待機させ、顧客対応などの必要性が生じた時点で直ちに業務に就くように命じる場合には、その待機時間は、場所的な拘束があり、常に業務に備えた状態でいなければならないことから、使用者の直接の指揮命令が及んでいると評価され、労働時間にあたり、給料の支払義務が発生します。

 

例えば、判例上も、24時間勤務でビルの警備・設備運転保全業務を行う会社における労働者の仮眠室での8時間の仮眠時間について、警報が鳴った場合は設備の補修等の作業を要することから、使用者の指揮監督下にある労働時間に当たるとされています(大星ビル管理事件 最高裁一小平成14年2月28日民集56巻2号361頁)。

 

なお、自宅待機については、安易に認めてよいものではなく、職務の必要性からやむを得ないような場合に認められると考えます。

 

内容も、合理的な範囲・程度のものであることが必要で、不必要と思われる場合に安易に自宅待機を命じることは、公序良俗違反になることも考えられます。

 

自宅待機を行う場合には、あらかじめ労働協約や就業規則等に詳細を規定し、一定額の待機手当等を支給することが望ましいと思われます。

 

待機手当は、宿日直の許可基準である1日の平均賃金の3分の1程度を参考にするとよいでしょう。

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