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会社分割をする時、労働契約はどうなるか?

最終更新日 2014年 09月29日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

会社分割とは?

会社分割とは、1つの会社を2つ以上の会社に分割することです。

 

分割により承継されるのは、その事業に関して有する権利義務の全部または一部です。

 

会社分割には、A会社の事業の全部または一部を分割して新たにB会社を設立する「新設分割」と、A会社の事業の全部または一部を既存のB会社が吸収する「吸収分割」があります。

 

会社分割の場合、分割計画(契約)に記載された権利義務は、一括して当然に設立会社等に承継されるという、部分的包括承継の考え方が採られています。

 

労働契約についてもこの考え方が基本となるため、会社分割の場合は労働者の同意がなくても転籍と同様の効力が発生します。

 

そこで、労働者の保護のため、労働契約に関する部分的包括承継の範囲等に関して定めた「会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律」(以下「労働契約承継法」とします)が制定されました。

 

労働契約承継法によれば、会社分割により承継される事業に主として従事する労働者の労働契約は、会社分割によって当然に新設(吸収)会社に承継されることになります。

 

転籍の場合と異なり、労働者の同意も不要です。

 

該当する労働者の労働契約の承継については、承継の対象となる権利義務として分割計画(契約)に記載されるべきものであり、記載されていなかった場合には、異議を述べれば、その労働契約は新設(吸収)会社に承継されます。

 

また、承継の対象となる事業に従事していない労働者や、従としてしか従事していない労働者は、原則として分割をする会社に残ることになり、これらの労働者の契約が承継の対象として分割計画(契約)に記載された場合には、異議を述べて分割会社に残ることができます。

 

以上のような労働契約承継法の効力を発生させるために必要な手続は以下の通りです。

 

労働契約承継法7条に規定された手続(いわゆる「7条措置」)

 

まず、会社分割にあたっては、会社分割を行う背景及び理由、分割会社・新設(吸収)会社が分割後に負担すべき債務の履行に関する事項、承継される事業に主として従事する労働者に当たるか否かの判断基準、労働契約の承継に関する事項、分割に際しての労働関係上のその他の諸問題について、そのすべての事業場において、労働者の過半数を組織する組合または過半数の代表者との協議を行い、労働者の理解と協力を得るように努めなければならない、と規定されています(労働契約承継法7条、労働契約承継法施行規則4条、労働契約承継法指針)。

 

この規定は努力義務であり、協議事項について必ず同意を得なければならないわけではありません。

 

平成12年商法等改正法附則5条に規定された協議(いわゆる「5条協議」)

 

会社は、分割契約等の通知期限日までに、承継事業に従事する労働者との間で、新設(吸収)会社への労働契約の承継の有無、分割後の業務内容・就業場所・就業形態等について事前に十分に説明し、本人の希望を聴取して、協議しなければならない、とされています (平成12年商法等改正法附則5条)。

 

労働者及び労働組合への通知

 

分割計画(契約)を作成した後は、分割会社は、承継事業に従事する労働者に対し、通知期限日までに、承継される事業に主として従事するか否かの区別、承継される事業の概要、分割後の分割会社及び承継会社等の名称・所在地・事業内容・労働者数、分割の時期、分割後の業務内容・就業場所・就業形態等、分割後の分割会社及び承継会社等の債務の履行の見込みに関する事項、会社に対して行うことができる異議申出の方法等を通知しなければなりません(労働契約承継法2条1項、労働契約承継法施行規則1条、労働契約承継法指針)。

 

また、労働者への通知と同じ期限日までに、労働組合に対しても、承継される事業の概要、分割後の分割会社及び承継会社等の名称・所在地・事業内容・労働者数、分割の時期、分割後の分割会社及び承継会社等の債務の履行の見込みに関する事項、分割会社と労働組合との間の労働協約が承継会社等に承継されるという分割契約等の定めの有無、承継される労働者の範囲等を通知しなければなりません(労働承継法2条2項、労働契約承継法指針)。

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