問題社員トラブルから会社を守る!6つの事例集&対処法 その5

事例5:社員による情報漏えい

【ケース①】
デジタルカメラなどのイメージセンサーを研究・開発・製造し、メーカーに卸している会社のケースです。

 

この業界は競争が激しく、技術も日々進歩していくのですが、この会社は社員を家族と考え、全社員が一体となってつねに最先端の製品を開発してきたそうです。しかし最近、競合大手にこの会社が開発中のイメージセンサーの情報が漏れてしまいました。調査の結果、研究部の課長が多額の金銭と引換えに情報を漏らしたということが発覚しました。

 

もちろん辞めてもらうつもりだそうですが、具体的にはどのように対処したらよいのかを知りたいとのことです。

 

【ケース②】
過去数年間、経営が厳しく、法人税がとても支払えないので、帳簿を改ざんし、脱税をしていた会社の社長さんのケースです。

 

これは社長自身の私欲のためではなく、会社が潰れれば社員全員が路頭に迷うことになるからだといいます。そうした事情があったのに、経理部のある若手社員が脱税のことを税務署に通報してしまいました。

 

今後、会社がどうなるかはわかりませんが、その社員は会社の重要な秘密を洩らしたわけですし、一緒に仕事をすることも難しいので解雇にしたいと考えているとのことです。

 

問題点を法的に解説

社員による企業秘密の漏えいは、多くの場合、就業規則上、懲戒事由に定められているはずです。したがって、懲戒処分を行っていくことになります。さらに、会社が被る損害に関して損害賠償請求も考えられますし、競合大手会社に対しては「不正競争防止法」を理由とした差止請求や、刑事罰の可能性もあるでしょう。

 

しかし、②のようなケースで懲戒の対象とするのは明らかに正義に反すると感じられます。

 

どう対処するか?

【ケース①】で会社の損害が甚大であれば、懲戒解雇も有効とされるでしょう。

 

もちろん、問題の社員に対して損害賠償請求していくことも可能です。実際、一社員に対して損害賠償請求したところで、回収できる賠償金は会社が被った損害を補填するものになりえない場合がほとんどでしょう。しかし再度、同様のケースを生まないためにも、損害賠償請求までして、会社の厳格な態度を示しておくのもひとつの方策だといえます。

 

情報漏えい先の競業他社に対しては、営業秘密不正使用として、不正競争防止法により差止請求を行います。さらに、取得行為そのものに関しては、取得者と競合他社と共に刑事罰の対象であるとして刑事告訴することになるでしょう。

 

【ケース②】のように、社員が漏らした秘密が脱税等、会社の違法行為を告発するものであった場合、懲戒処分が無効とされる場合があります。

 

しかし、本当に無効と判断されるか予見困難であるため、このような内部告発を容易にするために「公益通報者保護法」が平成18年に制定されています。

 

同法に定められた手続に沿って内部告発が行われた場合、その内部告発は違法でないとされ、懲戒の対象とはなりません。会社としては、告発された違法行為が真実であれば、たとえ会社に多大な損害が生じたとしても、当該社員を処分することなどできないでしょう。

 

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