問題社員トラブルから会社を守る!6つの事例集&対処法 その3

事例3:電子メールの私的利用・備品持ち帰り

ある社員が業務時間中、会社のパソコンで友達とメールのやりとりをしているようです。
パソコンもメールアカウントも仕事のために与えているものですから、私的利用はしないように注意しているのですが、改善されないといいます。

 

また、別の社員は、会社のボールペンや付箋、コピー用紙などを持ち帰り、自宅で利用しているようです。注意すると、「仕事上使っていたものをたまたま持ち帰ってしまっただけです」、「明日、持ってくれば問題ないでしょう」などと言うそうです。そもそも、どのくらい備品の持ち帰りをしているのか把握できていないようです。

 

社長は、「どれも大した金額のものではないのですが、やはり許せません」と怒っています。対処法はあるでしょうか?

 

問題点を法的に解説

まず、電子メールの私的利用ですが、メールに熱中するあまり業務に支障をきたしているということであれば、債務不履行として普通解雇事由にあたり得ます。

 

しかし、仕事はきっちりとしている場合は、普通解雇はできません。「電子メールの私的利用が企業秩序に違反する」として懲戒の対象になるかが問題となります。

 

また、備品の持ち帰りは、刑法上の「窃盗」もしくは「横領」等にあたる場合もあると考えられますが、具体的にはどのように対処すべきか問題となります。

どう対処するか?

「メールの私的使用について」
原則として懲戒対象とすることは難しいでしょう。

 

もちろん、社員には「職務専念義務」があるので、同義務に違反しているといえるほどの頻度でメールし、まったく仕事しないのであれば、普通解雇事由に該当します。しかし、1日に数回程度のメールであれば、社会生活を送る以上、日常の社会生活を営むうえで通常必要な外部との連絡として許されるべきですし、メールを使用することの会社の経済的負担はほとんどありません。

 

このような理由から電子メールの私的利用は、業務に支障をきたさない限り懲戒の対象とはならないとされています。逆に、業務に支障をきたしているのであれば、書面による注意を経て、改善されなければ、普通解雇や場合によっては懲戒を検討することになるでしょう。

 

会社としては、就業規則に「原則として電子メールの私的使用を禁止」と定めたうえで、それを周知徹底し、業務に支障をきたすほどの電子メールの私的利用があれば懲戒を検討していくことになります。

 

「備品の持ち帰りについて」
備品は会社の所有物なので、ボールペン等を持ち帰ると刑法上の「窃盗罪」、または「横領罪」に当たります。被害額が軽微であっても、完全に自宅に持ち帰り、自宅で使用しているのであれば犯罪です。懲戒や、場合によっては「刑事告訴」が考えられます。

 

ただ、懲戒するにしても、被害額が軽微であれば、いきなり懲戒解雇は重すぎるので、書面での注意を経たあと、戒告等の比較的軽微な懲戒処分を下すなど、段階を踏むことになるでしょう。

 

「メール調査・所持品調査はできるか?」
ところで、これら懲戒等の対象の前提として、会社は社員のメールや持ち物を調査することはできるのでしょうか。これには、社員のプライバシーと経営上の必要性との衝突の問題が出てきます。

 

電子メールについては、社会通念上相当な範囲を逸脱した閲覧・調査がされない限り、適法とされています。例えば、横領や情報漏えいなど企業秩序違反が生じたケースだと、会社は当然、事実関係確認のためにメールの調査が可能です。情報漏えいを防ぐなどの目的で電子メールの利用状況を調査する行為も許されます。

 

反対に違法となるのは、社会通念上相当な範囲を逸脱した調査ということになります。
例えば、立場上、対象社員を監督・調査する立場にまったくないにもかからず、好奇心でメールの内容を確認する場合などが考えられます。

 

所持品検査に関しては、裁判例では以下の要件が必要とされています。

 

①検査が合理的理由に基づいて行われること
②検査の方法ないし程度が一般的に妥当なものであること
③制度として画一的に実施されるものであること
④検査が就業規則等明示の根拠に基づいて行われること

 

もっとも、所持品検査が身体に及ぶ身体検査の場合は、より慎重な対応が求められるでしょう。
警察でさえ身体検査には、それなりに重い要件が課せられているのですから。

 

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