問題社員トラブルから会社を守る!6つの事例集&対処法 その1

これまで多くの問題社員に関する相談を受けてきました。
その中から代表的な事例をご紹介します。

 

対処法についても解説していますので、ぜひ参考にしてください。

 

事例1:経歴詐称

東大を卒業し、その後外資系の証券会社を経て、スタンフォード大学でMBAを取得したという34歳の男性を中途採用した会社。
社長は、もちろんその働きには大いに期待していました。しかし実際は、まったく仕事ができず、アメリカに留学していたというのに英語もほとんどできません。

 

おかしいと思い、大学や前の職場に問い合わせてみると、経歴が虚偽であることが発覚しました。卒業証明書などは、すべて偽造だったのです。中途採用した前提がまったく異なり、高い給与を払うのも無駄ですから、「経歴を偽った」として即刻、懲戒解雇にしたいといいます。

 

問題点を法的に解説

経歴詐称は、一般的には懲戒事由として定められているので、懲戒解雇の前提条件は満たしそうです。しかし、懲戒解雇は最も重い処分であるため、そう簡単に認められるかが問題です。

 

どう対処法するか?

裁判例上、このような事例では懲戒解雇の可否の可否が検討され、結果として多くのケースでは懲戒解雇は認められています。

 

そもそも、懲戒は企業秩序を乱した場合に認められるものですが、経歴を詐称しただけでは、必ずしも企業秩序を乱すことにはならないとも思えます。しかし、労働契約は使用者と相互の信頼関係に基礎を置く継続的な契約関係で、会社が必要かつ合理的な範囲内で申告を求めた場合、社員は信義則上、真実を告知する義務を負うとされています。

 

最終学歴の詐称(過大申告)は、社員の労務提供に対する会社の評価を誤らせ、高い給与が支払われたり、人事コースが異なったりすることによって、その後の労務管理にも支障をきたすことは明らかです。

 

また、職歴の詐称に関しても、中途採用では仕事内容が賃金設定に大きく影響します。実際に高い賃金を支払っているなどの事情があれば懲戒解雇の対象となるでしょう。したがって、今回のケースでは懲戒解雇とすることになります。

 

なお、この事例とは異なりますが、学歴・職歴の詐称ではなく、犯罪歴の詐称だったらどうでしょうか。過去に、痴漢や傷害などで逮捕・起訴され有罪になったことがある社員が犯罪歴を隠していたケースです。

 

結論として、このようなケースでは懲戒解雇は一般的に難しいと考えられています。
前述のように、会社が必要かつ合理的な範囲内で申告を求めた場合、社員は信義則上、真実を告知する義務を負うとされていますが、過去に痴漢で有罪となったことと、例えば、営業の仕事は基本的には関係ありません。

 

犯罪歴詐称で懲戒の対象となりうるのは、経理の仕事に就きながら、過去に他社で背任や横領を働き有罪になったなど、かなり限定されたケースでしょう。

 

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