伝家の宝刀!解雇の方法

解雇には、整理解雇普通解雇懲戒解雇などの種類がありますが、問題社員に対する解雇としては普通解雇と懲戒解雇を検討することになるでしょう。解雇は、問題社員との労働契約を解消するわけですから、問題社員への対応としては、最も効果的な手段といえます。

 

しかしながら、この伝家の宝刀はそう簡単には抜けません。

 

以下に、それぞれの解雇について解説します。

 

普通解雇

普通解雇とは、労働契約の債務不履行です。
簡単に言えば、社員が会社との雇用契約において求められる義務を果たしていないということです。

 

普通解雇に関しては、裁判例上「解雇権濫用の法理」が確立されています。これは、解雇は会社や社長が自由にできるものではなく、「当該具体的な事情のもとにおいて、解雇に処することが著しく不合理であり、社会通念上相当なものとして是認することができないときには」解雇権濫用として無効となるとされるものです。

 

この法理があるため、簡単に解雇することができず、普通解雇事由に該当した場合でも、会社は慎重な対応が求められるのです。

 

解雇というと、社員に対して上司や社長が、「お前はクビだ!!」と言い放つ場面が思い浮かびますが、実際にそんなことをすれば、あとになって社員から労働審判や裁判を起こされる可能性があります。

 

解雇権の濫用にあたるか否かについては以下の要素を考慮して判断されています。
・事実上の注意や(解雇を除く)懲戒などで対応し、問題社員に改善の機会を付与したか
・業務上どの程度支障が生じたか
・会社側の態度

 

解雇権濫用の法理は、以上のような判断要素を総合的に考慮して適用されるため、「ここまでやったら大丈夫!」という明確な基準が立て難く、会社として結局はできる限りのことをやったうえで普通解雇に踏み切ることになります。

 

懲戒解雇

懲戒解雇は、普通解雇よりもさらにハードルが高いものになります。

 

懲戒解雇とは、社員が重大な企業秩序違反を行った際になされる処分で、普通解雇とは異なり、就業規則に懲戒事由が規定されており、それに該当することが大前提です(普通解雇事由も就業規則に定められているのが通常ですが、社員が10人以下で就業規則が存在しない場合でも普通解雇自体は可能です)。

 

その上で、弁明の機会を付与する等、解雇手続を遵守し、さらに処分の社会的相当性(改善の機会を付与したか、他の手段で回避できないか等)が求められます。