残業代請求トラブルを解決するためのプロセス

実際に社員から残業代の支払いを請求されてしまった場合、どうすればいいのでしょうか?
対応を誤ると、せっかくの事前の対策もムダになりかねません。
そればかりか、他の社員に対しても影響が波及することにより、結果的に会社に甚大なインパクトを与えかねませんので、慎重な対応が必要となります。

 

社員からの残業代請求は、社員が会社を退職した後になされることが圧倒的に多いです。
この場合、一般的には下図のような流れで請求が行われます。

 

一般的に残業代請求は、まず社員から残業代の支払いを求める書面が届くことから始まります。

 

その後、会社と社員との間で交渉が行われ、解決の道が模索されることになります。
その結果、話合いにより合意ができれば、和解による解決となりますが、合意ができない場合、労働基準監督署に申告されてしまったり、あるいは、労働審判訴訟等が提起されることになります。

 

労働基準監督署に申告が行われると、最悪の場合、労働基準監督署からの指導等の結果として問題が全社員に波及してしまい、会社に大きなダメージを与える危険があります。

 

労働審判や訴訟等になった場合には、会社としても手間をかけてしっかりと準備をする必要が生じます。特に労働審判は、原則として3回以内の期日で審理を終結する手続きであることから、会社側は極めて厳しい時間的制約の中での対応を余儀なくされます。

 

というのも、労働審判では、実務上、会社は、社員により労働審判が提起されてから最初の期日が開かれるまでの短い期間に、会社側の主張を全て裁判所に提出することが要請されるからです。

 

そのため、専門家である我々弁護士が依頼を受けて労働審判の対応を行う場合であっても、夜を徹しての作業が必要になることも多く、会社の担当者の方が作業を行うとしたら、その負担が極めて大きいことは、容易に想像できるでしょう。

 

さらに、訴訟が提起されて裁判所で審理された結果、判決がなされる場合には、裁判所の裁量により、未払残業代と同額の付加金の支払いが命じられることもあります。すなわち、支払金額が2倍に膨れ上がってしまう危険があるのです。

 

このような事情を考慮すると、社員から残業代請求がなされた場合、会社としては、交渉段階で和解により解決をした方が有利と考えられる場合も多いです。

 

したがって、会社として、当該残業代請求が交渉段階で解決した方がいいのか、あるいは、徹底的に訴訟等で争った方がいいのかについては、請求がなされてから早々に見通しを立てて対応することが肝要となります。