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ちょっと待って!その行為は指導の範囲内!?

最終更新日 2015年 05月08日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

ケース3:パワハラ損害賠償請求

 

東京地裁判決 平成22年7月27日

 

●トラブルはこうして起きた
上司が部下3名に、それぞれ長時間、扇風機の風を直接あてた行為、始末書を書かせた行為、背中を突然1回殴打した行為、膝を蹴った行為について、社員らが慰謝料の支払いを求めました。

 

●判決内容をチェック
まず裁判所は、扇風機の風を長時間、部下にあてた行為について、この行為が行われたのが12月中旬であったこと、部下の他社への異動や組合が中止を申し入れるまでしばしば行われていたことから、部下に対する嫌がらせ目的であり、社員に著しく大きな精神的苦痛を与えるものであるとして、不法行為に該当すると判断しました。

 

次に、始末書を書かせた行為については、その詳細な経緯は、上司が自らの提案した業務遂行方法を部下が採用していないことを知って、部下を強い口調で叱責した上で、「今後このようなことがあった場合には、どのような処分を受けても一切異存はございません」という内容の始末書を書かせるというものでした。

 

裁判所は、この上司が他の社員が多数いる前で、部下の社員やその直属の上司を大声で、ときには有形力を伴いながら叱責したこと、手当なしの残業や休日出勤を強いるなどして一方的かつ威圧的な言動を部下に強いることが常態となっていることなどを考慮し、上記始末書を書かせた行為は、業務上の指導を超えて社員に過重な心理的負担を与えたとして、不法行為に該当すると判断しました。

 

次いで、背中を殴打した行為については、社内で席替えをしている最中に、上司が「うるさい」と言いながら立ち上がり部下の背中を殴打したというものでした。

 

その後、この上司は同じ部下を自席に呼びつけて、「貸付金の回収額がどうしたらよくなるのか」、「よくならないと君らが職を失うだけだ」、「お前ら言い訳ばっかりだ」、「ダメだったら追い出す」、などと一方的に発言。
その上で、「お前」などと言いながら、イスに座った状態から部下の左膝を右足の裏で蹴りました。

 

裁判所は、これらの行為は何ら正当な理由もないまま、その場の怒りにまかせて社員の身体を殴打したものであるから、違法な暴行として不法行為に該当すると判断。

 

そして、これらの行為が職務の範囲内の行為であることから、会社の「使用者責任」を認め、部下3名の休業期間中の賃金相当額と慰謝料合計145万9982円(うち慰謝料は3名合計で110万円)の支払いを会社と上司に命じました。

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