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懲戒事由の有無の調査のために自宅待機命令を出せるか?

最終更新日 2014年 09月30日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

自宅待機命令は、懲戒処分である出勤停止とは異なり、使用者の業務命令によって行われます。

 

出勤停止の場合は、出勤停止中の賃金は支払われませんが、自宅待機の場合は、自宅待機中の賃金が支払われます。

 

労働者には、就労請求権がないため、使用者が賃金を支払う限り、就業規則等に明示の根拠がなくても、使用者は自宅待機命令を出すことができます。

 

したがって、自宅待機の理由が懲戒事由の有無の調査のためである場合でも、使用者は原則として自宅待機命令を出せることになります。

 

実務上でも、懲戒処分を決定するまでの間や、懲戒解雇の前置き措置として、自宅待機命令を出すことが多いです。

 

ただし、自宅待機の必要性がない場合や、自宅待機の期間が不必要に長期間にわたる場合は、自宅待機命令が認められない場合もあります。

 

裁判例では、航空機の上級整備士が、勤務中に旅客機内でシャンパンを口にしたことを理由として普通解雇された事案で、事実関係が把握できていたにも関わらず解雇処分発令前の約7カ月間の自宅待機命令は違法であると判断されたものがあります(ノースウェスト事件 千葉地裁平成5年9月24日)。

 

自宅待機期間については、比較的軽微な非違行為の場合は、数日間が限度であると考えます。

 

これに対し、懲戒解雇などの重い懲戒処分や、事案が複雑な場合は、調査に時間がかかったり、賞罰委員会や取締役会の決議・承認等の手続が必要であったりするため、自宅待機の期間が長期間に及ぶ場合もあると考えます。

 

なお、使用者が懲戒解雇に関する事由の有無の調査等を行っている間に、労働者から退職届が出された場合には、労働者の雇用契約の解約の申し入れ後14日が経過すると雇用契約自体が自動的に終了してしまいますので(民法627条)、その期間内に懲戒解雇をするか否かの判断をしなければならなくなりますので注意が必要です。

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